見えないボラティリティを測る
ボラティリティは直接観測できず、推定するだけです。最も簡単な推定量は終値から終値で、日次対数リターンの標準偏差に 252 を掛けて年率換算します。1日1つの数字しか使わず、寄り付きから引けまでに起きたことを無視します。日中の価格があればずっと良い推定ができます。ある日の実現分散は日中リターンの二乗和 RVt=∑i=1mrt,i2 で、サンプリングを細かくするほどその日の真の分散に近づきます。実際には最も細かいサンプリングは裏目に出ます。ビッド・アスク・バウンスや丸めのノイズが RV を押し上げるためで、5分ごとのリターンや、ずらした複数のグリッドの平均が一般的な折衷案です。
RVt=i=1∑mrt,i2,σ^P2=4ln2(ln(H/L))2,σA=σD252,RVt+1=β0+βdRVt+βwRVt(5)+βmRVt(22)+ε(1) 日中データがなくても、その日の高値 H と安値 L から値動きの情報が得られます。Parkinson の推定量 σ^2=(ln(H/L))2/(4ln2) は終値から終値の方法より約5倍効率的で、Garman-Klass は始値と終値も使います。連続取引を仮定しているため、価格が飛ぶ場合や夜間のギャップが大きい場合は下方に偏ります。より良い測定が欲しい理由は予測にあります。日次リターンの二乗は、その日の分散の不偏だが極めてノイズの大きい代理で、幅広い分布からの1回の抽出にすぎません。RV は多くの抽出を平均します。Corsi の HAR-RV モデルは、明日の RV を今日の値、直近5日の平均、直近22日の平均に回帰します。3つの項でボラティリティの緩やかな長期記憶的減衰を再現でき、基準としては超えにくいモデルです。
2つの小さな推定日中リターン
0.10%、
−0.20%、
0.15%、
0.05% の4つから
RV=0.01+0.04+0.0225+0.0025=0.075(%の二乗)となり、その区間のボラティリティは
0.27% です。高値
102、安値
99 の日は
ln(102/99)=0.0299 で、Parkinson の分散は
0.02992/(4ln2)=0.000321、日次ボラティリティは
1.79%、年率では
1.79%⋅252≈28.5% です。
β=(0.1,0.3,0.4,0.2) で
RV が
2(今日)、
1.5(5日平均)、
1(22日平均)なら、HAR の予測は
0.1+0.6+0.6+0.2=1.5 です。
- 終値から終値:日次リターンの標準偏差に 252 を掛ける。日中の値動きは無視する。
- 実現分散は日中リターンの二乗和。非常に細かいサンプリングはマイクロストラクチャ・ノイズを加える。
- レンジ推定量(Parkinson、Garman-Klass)は高値・安値・始値・終値を使う。HAR-RV は日・週・月の平均から予測する。
ラボ:採点される内容
- 実現分散15点
- 年率換算15点
- Parkinsonの推定量15点
- HAR予測15点
- なぜ毎秒サンプリングしないのか10点
- 用語を結び付ける15点
- 二乗リターンより良い代理15点