二乗した歩みは何になるか
[0,t] 上のブラウン運動の経路を取り、時間を長さ h=t/n の等しい n 個に区切ります。各区間で経路はランダムな一歩 ΔW(平均 0、分散 h の正規分布の数)を踏みます。各一歩を二乗して足し合わせます。滑らかな曲線なら、区間を細かくすると和は 0 に縮みます。一歩の大きさが h、その二乗が h2 だからです。ランダムな経路は違います。二乗した一歩は平均で約 h で、それが n 個あるので、和は n⋅h=t に落ち着きます。この極限が経路の二次変動です。
[W]t=n→∞limi=1∑n(ΔWi)2=t,(dW)2=dt,dWdt=0,(dt)2=0(1) この1つの事実が確率解析を通常の微積分と分けています。通常の微積分では、小さな一歩の二乗はあまりに小さいので無視します。ここでは二乗した一歩が時間そのものと同じ大きさなので、残さなければなりません。しかもこれは測れます。株の日次リターンの二乗を足し合わせれば、その期間の分散の推定値になり、これがまさに実現ボラティリティの計算です。
252個の日次リターンからボラティリティを求める252個の日次リターンがそれぞれ約
1% の大きさだとします。二乗和は
252×0.0001=0.0252、その平方根は
0.1587 です。年率ボラティリティは約
15.9% になります。モデルは不要で、二乗した歩みだけで求まります。
- 二次変動:二乗した歩みの和。滑らかな曲線では 0、ブラウン運動では t。
- 掛け算表:(dW)2=dt、一方 dWdt と (dt)2 は 0。
- 実現分散は二乗リターンの和で、σ2 に期間の長さを掛けたものを推定する。
ラボ:採点される内容
- 二乗した歩みを足す15点
- 年率ボラティリティ15点
- 和にどれだけランダムさが残るか15点
- 二乗した歩みの規則15点
- 用語を結び付ける15点
- 年率ボラティリティを推定する10点
- 伊藤に追加項がある理由15点