価格ではなく確率を変える
実世界の確率 P のもとで、株は dS=μSdt+σSdW に従います。平均成長率 μ は知りにくく、投資家ごとに見方が違います。ギルサノフの定理は、経路の重みを付け替えて、ドリフトを無リスク金利 r にでき、ボラティリティ σ はそのままだと述べます。新しい重みがリスク中立測度 Q です。ランダム部分をずらして W~t=Wt+θt とします。θ=(μ−r)/σ は市場のリスク価格で、リスク1単位あたりの超過リターンです。Q のもとで W~ は単純なブラウン運動になります。
θ=σμ−r,dS=rSdt+σSdW~,V0=e−rTEQ[g(ST)],EQ[ST]=S0erT(1) なぜこうするのでしょうか。オプションは株と現金でヘッジできるので、価格は株の成長への期待には依存できません。Q のもとで価格付けすると、μ が問題から消えます。今日の価格は、Q のもとでの平均ペイオフを r で割り引いたものです。Q は計算の道具であり予測ではないことに注意してください。株が本当に r で伸びると主張する人はいません。ヘッジの計算がうまく合うための確率の組にすぎません。
1ステップの市場100 の株が
110 か
90 になり、現金は
2% 増えます。上昇のリスク中立確率は
q⋅110+(1−q)⋅90=102 を満たし、
q=0.6 です。行使価格
100 のコールは上昇時に
10、下落時に
0 を払うので、価値は
0.6×10/1.02≈5.88 です。本当の上昇確率は一度も出てきません。
- リスクの市場価格:θ=(μ−r)/σ。リスク1単位あたりの超過リターン。
- ギルサノフが変えるのはドリフトだけ。ボラティリティ σ は P でも Q でも同じ。
- 価格=Q のもとでの平均ペイオフの割引現在値。Q は価格付けの道具で予測ではない。
ラボ:採点される内容
- リスクの市場価格15点
- リスク中立の先渡価格15点
- リスク中立確率15点
- コールの価値15点
- ギルサノフが変えるもの15点
- リスク中立法で価格付けする10点
- 実際のリターンが消える理由15点