レジームはいくつで足りるか
市場のレジームは2つか3つか4つか。当てはまりの良さだけでは決められません。状態の多いモデルは自由度が大きいので、データへの当てはまりが少なくとも同じだけ良くなり、状態が十分多ければノイズにまで合わせてしまいます。必要なのは、良い当てはまりを評価しつつ、パラメータが1つ増えるごとに代価を課す指標です。代表的なものは AIC=−2lnL+2p と BIC=−2lnL+plnn で、L はデータの尤度、p は自由パラメータ数、n は観測数です。小さいほど良く、n が大きいと BIC はパラメータあたりの代価が大きいので、より単純なモデルを好みます。
p=K(K−1)+(K−1)+2K=K2+2K−1,AIC=−2lnL+2p,BIC=−2lnL+plnn(1) K 状態のガウス型HMMの自由パラメータは、K(K−1) 個の自由な遷移確率、K−1 個の自由な初期確率、各状態の平均とボラティリティで、p=K2+2K−1 です。SPYの日次リターン 5,404 個に当てはめると、対数尤度は1状態で 16,252、2状態で 17,521、3状態で 17,803、4状態で 17,877 です。改善幅は 1,269、282、そして 75 と急に縮みます。BICは4状態で最小ですが、3状態からの改善は 72 にすぎず、追加の状態は解釈が困難です。解釈のしやすさ、新しいデータでの安定性、改善の大きさも、点数と同じくらい重要です。
SPYのスコア3状態では
p=14 です。
lnL=17,802.7、
lnn=ln5404=8.595 から
BIC=−35,605.3+14×8.595=−35,485.0、
AIC=−35,605.3+28=−35,577.3。2状態では
p=7、
lnL=17,520.7 なので
BIC=−35,041.4+60.2=−34,981.3 で、3状態よりずっと高い(悪い)値です。3状態から4状態にするとパラメータが9個増え、対数尤度は
74.5 しか増えません。
- 状態が多いほど常によく当てはまるので、当てはまりだけではレジーム数を決められない。
- AICとBICはパラメータごとに代価を引く。BICは lnn を課すので、より単純なモデルを好む。
- 改善の大きさと解釈のしやすさを見る。最小のスコアだけを見ない。
ラボ:採点される内容
- 3状態のパラメータ数10点
- 2状態のパラメータ数10点
- BIC15点
- AIC15点
- 4つ目の状態の改善幅10点
- なぜ単に最良の当てはまりではいけないのか10点
- 用語を結び付ける15点
- なぜ3つのレジームを残すのか15点