分散が一定でないとき
リターンはほぼ無相関ですが独立ではありません。今日の動きの大きさは明日の動きの大きさを教えてくれます。静かな週の後には静かな週が、荒れた週の後には荒れた週が続きます。Engle (1982) の ARCH モデルは、ショックの分散を直近のショックの二乗に依存させてこれを捉えます:rt=μ+εt、εt=σtzt(zt は標準正規)、σt2=ω+α1εt−12+⋯+αqεt−q2。昨日の大きなショックは今日の分散を押し上げ、ショックの符号には記憶がありません。ARCH(1) の無条件分散は ω/(1−α) で、α<1 が必要です。
σt2=ω+αεt−12,Var(εt)=1−αω,LM=TR2∼χq2,σt2=λσt−12+(1−λ)rt−12(1) ショック zt が正規分布でも、ARCH は正規分布より裾の厚いリターンを生みます。落ち着いた時期と荒れた時期が1つの標本に混ざるためで、これがリターンのヒストグラムに過剰尖度が現れる理由です。ARCH 効果を検定するには、平均モデルの残差 ε^t をとり、ε^t2 を自身の q 個のラグに回帰して Engle の統計量 TR2 を計算します。ARCH がないという帰無仮説の下で χq2 に従います。当てはめの要らない簡単な代替は指数加重移動平均 σt2=λσt−12+(1−λ)rt−12 で、日次データでは RiskMetrics の標準値 λ=0.94 が使われます。実際のリターンにはレバレッジ効果もあり、同じ大きさでも下落のほうが上昇より次の分散を大きく押し上げますが、単純な ARCH はこれを表せません。ボラティリティの長い持続を再現するには多くの ARCH ラグが要り、このスキルの後半で扱う GARCH は少ないパラメータでそれを実現します。
1つのショックと次の分散パーセント単位の ARCH(1) で
ω=0.2、
α=0.5 とします。長期の分散は
0.2/(1−0.5)=0.4、日次ボラティリティで
0.63% です。穏やかな日(
ε=0.2)の後の分散は
0.2+0.5⋅0.04=0.22 です。
ε=−2 のショックの後は
0.2+0.5⋅4=2.2、ボラティリティは
1.48% で長期水準の2倍以上です。常に
0.4 を使うモデルは、ショック直後のリスクを過小評価します。
- ARCH(q):今日のショックの分散は、定数と直近 q 個のショックの二乗の加重和。
- Engle の検定:残差の二乗をそのラグに回帰し、TR2∼χq2 を使う。
- λ=0.94 の EWMA は当てはめ不要の代替。レバレッジ効果:下落は上昇よりボラティリティを大きく上げる。
ラボ:採点される内容
- 長期の分散15点
- ショック後の分散15点
- EWMAの更新15点
- Engleの統計量15点
- ARCHモデルの裾10点
- 用語を結び付ける15点
- ショック直後のリスク15点