中央ではなく端をモデル化する
最小二乗法は平均をモデル化します。リスクは裾にあります。株の最悪の日は、平均的な日をほとんど動かさない変数に反応することがあります。分位点回帰は、応答の選んだ分位点 τ を直接当てはめます。たとえばバリュー・アット・リスクの限度の基礎となる5%分位点です。残差 u=y−q にチェック損失(ピンボール損失)ρτ(u)=u(τ−1[u<0]) を課して最小化します。正の残差は τ、負の残差は 1−τ で重み付けされるので、τ=0.9 では低すぎる推測のコストが高すぎる推測の9倍になり、推測は90パーセンタイルへ押し上げられます。τ=0.5 なら損失は絶対誤差の半分で、最小化するのは中央値です。statsmodels では smf.quantreg('y ~ vol', data).fit(q=0.05) と書きます。
ρτ(u)=u(τ−1[u<0]),β^τ=argβmini∑ρτ(yi−xi⊤β),Qτ(y∣x)=x⊤βτ(1) 損失の手計算とVaRの直線y=1,2,3,10,20 を考えます。中央値
3 の絶対損失は
2+1+0+7+17=27、平均
7.2 では
31.2 です。
τ=0.9、推測
q=10 なら残差は
−9,−8,−7,0,10 で損失は
0.1(9+8+7)+0.9⋅10=11.4、推測
q=20 なら
0.1(19+18+17+10)=6.4 にすぎません。5点中4点がその下にあり、90%分位点らしい形だからです。ここから実データです。SPY の翌日リターン(%)を過去20日間のボラティリティ(%)に回帰します(
5,384 日)。最小二乗ではほとんど効果が見えず、傾きは
0.011 です。分位点回帰では
τ=0.05 で傾き
−1.50(標準誤差
0.05)、
τ=0.95 で
+1.37、中央値で
0.03 です。ボラティリティが
1% のとき当てはめた分位点は
−1.77%、
0.07%、
1.64%、
2% のときは
−3.27%、
0.10%、
3.01% で、幅は
6.28 ポイントです。裾はボラティリティとともに広がり、中央はほとんど動きません。VaRの限度として見ると、当てはめた
τ=0.05 の直線は全体で
5.0% の日に破られ、ボラティリティが
2% を超える
263 日では
7.2% です。同じ日に一定の正規分布の限度
−1.92% は
22.4% 破られ、
0.8% 未満の穏やかな
2,600 日ではわずか
1.3% でした。
注意点が2つあります。別々に当てはめた分位点の直線は交差することがあり、x の両端で5%の直線が50%の直線より上に出ることがあります。慎重なアナリストはこれを確認します。また、分位点回帰の標準誤差はブートストラップか漸近的なもので、これまでと同じ自己相関の懸念があるため、短い標本での裾の推定はノイズが大きくなります。
- 気にする分位点を選ぶ:下方リスクは5%、典型は50%、上振れは95%。
- 局面ごとにカバレッジを確認する:全体では正しい限度も、穏やかな時期と荒れた時期のどちらでも間違っていることがある。
ラボ:採点される内容
- 絶対損失15点
- ピンボール損失15点
- 予測された5%分位点15点
- 帯の幅10点
- 予想される超過回数15点
- 一定の限度が失敗する理由10点
- 平均が裾を隠す20点