寄り添う2つの価格
価格はさまよいます。ランダムウォークのように動くので、どれも非定常です。2つのさまよう系列が共和分しているとは、その組み合わせのどれかがさまよわない、つまりスプレッド st=yt−βxt が平均に戻り続けることです。これがペアトレードの発想です。エングル・グレンジャー検定は2段階です。まず y を x に最小二乗で回帰してヘッジ比率 β^ とスプレッドを得ます。次にスプレッドに拡張ディッキー・フラー検定 Δst=γst−1+εt を行い、γ<0 かを問います。t統計量は特別な臨界値(2系列で5%なら約 −3.34)を下回る必要があり、スプレッドが推定値なので通常より厳しくなっています。statsmodels では coint(y, x) です。
st=yt−β^xt,Δst=γst−1+εt,ϕ=1+γ,t1/2=lnϕln0.5(1) 5日間のスプレッドを手計算x=1,2,3,4,5、
y=3,5,6,9,10 とします。回帰で
β^=18/10=1.8、スプレッド
y−1.8x は
1.2,1.4,0.6,1.8,1.0、平均
1.2、標準偏差
0.447 です。今日のスプレッド
1.0 のzスコアは
(1.0−1.2)/0.447=−0.45 で、平常よりやや低めです。スプレッドが
st=0.9st−1+ε に従うなら、乖離は
ln0.5/ln0.9=6.58 日で半分になります。検定回帰
Δs=γst−1 で
γ^=−0.1、標準誤差
0.04 なら
t=−2.5 で、臨界値
−3.34 より上なので、共和分とは言えません。2000年以降の実際の日次データ(
6,696 日)では、KOとPEP、XOMとCVX、HDとLOWのようなペアで一方の対数価格を他方に回帰すると
R2 は
0.85 から
0.93 ですが、エングル・グレンジャー統計量は
−2.69、
−1.80、
−3.97 で、5%で通るのはHDとLOWだけです(
p=0.008)。それも脆く、標本の前半と後半を別々に検定するとどちらも不合格(
t=−1.58、
−2.63)で、ヘッジ比率は
0.13 から
0.93 へ動きます。全期間のスプレッドは
ϕ=0.998、半減期は約
332 日で、取引には遅すぎます。比較として、独立なランダムウォークを
1000 ペアつくると、
85% で傾きが
∣t∣>1.96 になります。
高い決定係数は証拠ではないさまよう2つの価格は、一方を他方に回帰するといつも関連して見えます。リンクが本物だと言えるのは、エングル・グレンジャーの臨界値で検定したスプレッドの定常性だけです。取引する前にサブ期間で安定性を確認してください。
- 2段階:回帰でヘッジ比率を求め、エングル・グレンジャーの値でスプレッドの単位根を検定する。
- 半減期は、本物の平均回帰が取引に十分速いかを教えてくれる。
ラボ:採点される内容
- ヘッジ比率10点
- 平均スプレッド10点
- zスコア15点
- 半減期15点
- ディッキー・フラー統計量15点
- 検定を読む10点
- 合格だけでは足りない25点