見えないボラティリティ
リターンには穏やかな時期と嵐の時期があり、リターンのばらつきは日々変わりますが、誰もそれを公表しません。確率的ボラティリティモデルは、分散の対数 ht を隠れ状態として扱います。ht は長期水準 μ のまわりで1次の自己回帰として動きます。昨日のずれの割合 φ が残り、大きさ σ の新しいショックが加わります。リターンは分散 eht の釣鐘形です。対数を使うと分散が正に保たれ、ショックが掛け算で効きます。モデルを表す数は3つです。水準 μ、持続性 φ(1 に近いとボラティリティのショックが長続きする)、ボラティリティのボラティリティ σ。
ht=μ+φ(ht−1−μ)+σηt,rt=eht/2εt,sd(h)=1−φ2σ(1) 隠れ状態は指数関数の中にあり、観測はその非線形関数なので、カルマンフィルタには厳密な答えがありません。ブートストラップ粒子フィルタには答えがあります。粒子を h の長期分布から出発させます。毎日、各粒子を自己回帰で動かし、分散 eh のリターンの正規密度で重み付けし、有効標本サイズが低ければリサンプリングします。フィルタされたボラティリティは eh の重み付き平均の平方根で、252 を掛けると日次から年率になります。粒子の尤度の平均はパラメータの対数尤度も与え、次のトピックで使います。
ある1日の数字μ=−8.85(年率ボラティリティ
19%)、
φ=0.98、
σ=0.15 とします。
h の長期のばらつきは
0.15/1−0.982=0.754 です。
h=−8 の粒子は日次分散
e−8、年率ボラティリティ
252e−8=29.1% を意味します。明日への予測の平均は
−8.85+0.98×0.85=−8.017 です。リターンが
−2% なら、その正規密度は
12.0 です。
−3% のリターンは、穏やかな粒子
h=−9.5 より
h=−8 のほうが
50 倍起こりやすいので、荒れた粒子には
50 倍の重みが付きます。
2005年以降のSPYの 5404 個のリターンに、μ=ln(r2)=−8.85、φ=0.98、σ=0.15、粒子1000個で適用すると、フィルタされた年率ボラティリティの平均は2017年に 8.7%、2008年に 30.8% で、2008年10月15日に 79.5% でピークをつけます。対数尤度は 17752 で、一定ボラティリティの 16252 に比べ約 1500 の改善です。有効標本サイズの中央値は 1000 中 966 ですが、2018年10月10日(穏やかな時期の後の −3.2%、フィルタされたボラティリティが 7.9% から 18.9% へ跳ぶ)に 3.3 まで落ちます。穏やかな後は、ショックを説明できるほど高いボラティリティの粒子がほとんどありません。
- 隠れ状態は分散の対数:分散が正に保たれ、ショックが掛け算で効く。
- 重みはリターンを説明するボラティリティを優遇する:大きなリターンは荒れた粒子を、小さなリターンは穏やかな粒子を持ち上げる。
- 穏やかな後の ESS に注意:大きな驚きで有用な粒子がごくわずかになることがある。
ラボ:採点される内容
- 長期のばらつき15点
- 粒子の年率ボラティリティ10点
- 予測平均15点
- 正規密度10点
- 重みの比15点
- なぜ対数分散か10点
- 用語を結び付ける10点
- なぜリターンをそのまま使わないのか15点