行列は変換装置
m×n 行列 A は、n 成分の入力ベクトル x を m 成分の出力ベクトル Ax に変換します。この写像は線形で、A(ax+by)=aAx+bAy が成り立つため、入力を定数倍して足すと出力も同じように定数倍されて足されます。金融では、A の第 j 列が m 個の資産それぞれのリスクファクター j への反応を表すなら、Ax はファクターの動き x に対する資産リターンのベクトルです。
Ax=x1a1+x2a2+⋯+xnan(1) 積は列で読みます。Ax は A の列 aj を x の成分で重み付けした組み合わせです。x=e1=(1,0,…,0) とすると第1列が取り出されるので、行列の列は単位ベクトルの像です。これだけで任意の線形写像を書き下せます。各単位ベクトルの行き先を決め、その結果を列に並べればよいのです。
行列を読み書きするA=(1324) の列
(1,3) と
(2,4) は
e1 と
e2 の像です。
x=(1,1) なら
Ax=1⋅(1,3)+1⋅(2,4)=(3,7)。反時計回りに90度回す写像は
e1→(0,1)、
e2→(−1,0) なので、その行列は
(01−10) です。
- 線形写像:f(ax+by)=af(x)+bf(y)。有限次元空間の間の線形写像はすべて行列で表せます。
- 列:単位ベクトルの像。Aej が第 j 列です。
- 零は零へ:線形写像は常に 0 を 0 に写します。
線形は直線のことではないf(x)=2x+1 は直線を描きますが、f(0)=1=0 なので線形ではありません。定数(切片)を足すとアフィン写像になります。回帰ではデータに1の列を加えて、アフィンの問題を線形の問題に直します。 ラボ:採点される内容
- 像から行列へ20点
- 行列とベクトルの積15点
- 線形でない写像を見抜く15点
- 回転20点
- 行列とその効果15点
- 列が像である理由15点