後知恵で振り返る
前向きアルゴリズムが出すのはフィルタ確率、つまり t 日目までのデータだけを使った t 日目についての信念です。履歴全体が手に入ったあとなら、過去についてもっとうまくやれます。初日が穏やかに見えても、2日目と3日目に大きな動きがあれば、その後の日が初日について何かを教えてくれます。平滑化はすべてのデータを使います。そのために2つ目の量 βt(i)、つまり t 日目が状態 i のときの、t 日目より後の観測の確率が必要です。これは βT=1 から後ろ向きに計算します。
βT(i)=1,βt(i)=j∑AijBj(ot+1)βt+1(j),γt(i)=∑kαt(k)βt(k)αt(i)βt(i)(1) 積 αt(i)βt(i) は、すべてのデータが起こり、かつ t 日目に状態 i である確率です。α が過去と今日を、β が未来を担当します。状態について和を取った値で割ると平滑化確率 γt(i)、つまり標本全体を与えたときの t 日目についての信念になります。αtβt を状態について足した値はどの t でも同じで、データの確率です。平滑化確率は、過去の記述、たとえば過去のレジームのラベル付けには適切な道具ですが、売買には不適切です。その日の時点では未来はわからないからです。
後から見た初日「小・大・大」では
β3=(1, 1) です。次に
β2(C)=0.9⋅0.1+0.1⋅0.7=0.16、
β2(S)=0.2⋅0.1+0.8⋅0.7=0.58。さらに
β1(C)=0.9⋅0.1⋅0.16+0.1⋅0.7⋅0.58=0.055、
β1(S)=0.2⋅0.1⋅0.16+0.8⋅0.7⋅0.58=0.328 です。
α1=(0.54, 0.12) なら
α1β1=(0.0297, 0.0394) で、合計は
0.0691、つまりデータの確率です。したがって初日が穏やかだった平滑化確率は
0.0297/0.0691=0.43 で、フィルタ確率
0.82 から下がりました。そのあとの2つの大きな動きが考えを変えたのです。
- 後ろ向き値 βt(i):t 日目の状態を与えたときの、それ以降の全観測の確率。
- 平滑化 γt∝αtβt:過去も未来も含む全データを与えた t 日目の信念。
- 過去の記述専用:平滑化確率は未来のデータを使うので売買には使えない。
ラボ:採点される内容
- 後ろ向き値15点
- もう1つの後ろ向き値15点
- 荒れの平滑化確率15点
- 和の検算10点
- フィルタと平滑化の差10点
- 平滑化が加えるもの10点
- 用語を結び付ける10点
- 平滑化とフィルタが異なる理由15点