多くの推定値に助け合わせる
50 銘柄の平均リターンがあるとします。見た目の良い銘柄は、一部は本当に良く、一部は運が良かっただけです。階層モデルでは、真の平均 θi はすべて1つの共通の母集団から来る(θi∼N(μ,τ2))と考え、観測された平均 yi は真の平均に標準誤差 si のノイズが乗ったものとします。すると銘柄自身のデータがグループと組み合わされ、推定値はグループの平均 μ のほうへ引き寄せられます。この引き寄せを縮小推定(シュリンケージ)といいます。
Bi=si2+τ2si2,θ^i=Biμ+(1−Bi)yi,sd(θi)=(si21+τ21)−1/2(1) 縮小係数 Bi は、グループに与える重みの割合です。ノイズの大きい銘柄(si が大きい)は Bi が 1 に近く、グループ平均に強く引き寄せられます。精度よく測れた銘柄(si が小さい)はほぼ自分の値を保ちます。τ2 が未知なら広がりから推定します。銘柄間の yi の分散は τ2 に si2 の平均を足したものに等しいので、τ2 はその分散から平均ノイズを引いたもの(0 未満にはしない)です。広がりがノイズだけで生じる程度なら τ2=0 で、すべての銘柄が1つの推定値を共有します。
同じ平均の2銘柄グループを
μ=8%、
τ=2% とします。銘柄Aは
y=14%、
s=4% で、
B=16/(16+4)=0.8 なので推定値は
0.8×8+0.2×14=9.2%、標準偏差は
1/1/16+1/4=1.79% です。銘柄Bは同じ
y=14% でも精度の高い
s=1% で、
B=1/(1+4)=0.2 なので推定値は
0.2×8+0.8×14=12.8% です。ノイズの大きいほうはほぼ全面的に引き戻され、精度の高いほうはほとんど動きません。
- 階層モデル:真の平均は共通の母集団から来るので、各銘柄のデータが他のすべてを助ける。
- 縮小 Bi=si2/(si2+τ2):ノイズの大きい推定値は大きく動き、精度の高いものはほとんど動かない。
- τ2 の推定:銘柄間の分散から平均ノイズを引く(0 未満にはしない)。
ラボ:採点される内容
- 縮小係数15点
- Aの縮小後の平均15点
- Bの縮小後の平均10点
- Aの事後の広がり10点
- tau二乗を推定する15点
- 誰が最も縮小されるか10点
- 用語を結び付ける10点
- なぜ縮小が役立つのか15点