互いを予測する変数
ベクトル自己回帰(VAR)は複数の系列をまとめてモデル化します。各変数を、すべての変数の過去の値に回帰します。2つの系列 x、y とラグ1なら yt=c+Ayt−1+ut(yt=(xt,yt)⊤、A は 2×2 行列)です。各式は最小二乗法で推定され、statsmodels では VAR(data).fit(p) がすべてを一度に行います。A の固有値がすべて単位円の内側にあればモデルは安定で、ショックは爆発せず減衰します。予測は行列を繰り返し掛けて得られます。ラグ次数 p は、当てはまりを評価し余分な係数に罰を与える AIC や BIC などの情報量規準で比べて選びます。
グレンジャー因果性は狭い問いを立てます。x 自身の過去値が分かっているとき、y の過去値は x の予測に役立つか。x の式を2回当てはめます。y のラグを含める場合(制約なし、残差平方和 RSSu)と含めない場合(制約あり、RSSr)で、F統計量で比較します。有意なら y が x に時間的に先行することを示します。ただし y が x を引き起こす証拠ではありません。第三の変数や先回りする投資家が同じパターンを生むことがあります。
yt=c+A1yt−1+⋯+Apyt−p+ut,F=RSSu/(n−k)(RSSr−RSSu)/q,∣λi(A)∣<1(1) 2変数VARの手計算A=(0.50.10.20.6) とし、
(x,y)=(1,2) から始めます。1期先は
(0.5⋅1+0.2⋅2,0.1⋅1+0.6⋅2)=(0.9,1.3)、2期先は
(0.5⋅0.9+0.2⋅1.3,0.1⋅0.9+0.6⋅1.3)=(0.71,0.87) です。トレースは
1.1、行列式は
0.5⋅0.6−0.2⋅0.1=0.28 なので、固有値は
λ2−1.1λ+0.28=0 の解
0.7 と
0.4 で、どちらも単位円の内側にあり系統は安定です。F検定では、
y のラグを外すと残差平方和が
RSSu=10 から
RSSr=12 に増え、制約数
q=2、
n−k=40 なら
F=10/40(12−10)/2=4.0 で、5%臨界値
3.23 を上回ります。
実際の月次データ(2005年3月から 258 か月)で、SPY のリターン(%)と米国債10年−2年スプレッドを使います。AIC は 3 ラグ、BIC は 1 ラグを選び、VAR(2) は安定で、スプレッドが非常に持続的なため(自身のラグの合計が 0.98)最も近い根は 1.02 です。スプレッドがリターンの予測に役立つかのグレンジャー検定は F=0.22(p=0.81)、リターンがスプレッドの予測に役立つかは F=1.88(p=0.15)でした。どちらの向きも有意ではなく、イールドカーブの傾きを知っても SPY の月次予測は改善しません。
ラボ:採点される内容
- 1期先10点
- 2期先15点
- 最大固有値15点
- グレンジャーのF統計量15点
- 係数を数える15点
- グレンジャー検定を読む10点
- 予測は因果ではない20点