ルールの下での最適化
実際のポートフォリオにはルールがあります:ウェイトの合計は1、空売りなし、回転率の上限。制約付き問題は、等式 h(w)=0 と不等式 g(w)≤0 の下で minf(w) を求めるものです。等式が1つなら、最良の実行可能点は ∇f が制約面を真っ直ぐ貫く所です。横向きの成分があれば、面を離れずに f を改善できてしまうからです。これがラグランジュの条件 ∇f+λ∇h=0 で、λ がラグランジュ乗数です。すべてをラグランジュ関数 L=f+λh+μg にまとめると、制約付き問題は L の停留点を探す問題になります。
∇f+λ∇h+μ∇g=0,h=0,g≤0,μ≥0,μg=0(1) 不等式を含む場合の完全な条件の組は、カルーシュ、クーン、タッカーにちなんで名づけられ、4つの部分からなります:ラグランジュ関数の停留性、主実行可能性(制約が成り立つ)、双対実行可能性(μ≥0)、相補性(μg=0)。相補性は、各不等式が g<0 かつ μ=0 で不活性(影響なし)か、g=0 かつ μ>0 で活性(等式のように働く)かのどちらかだと述べます。凸問題では、これらの条件は大域最適解の必要十分条件です。乗数は価格でもあり、制約を1単位緩めたときに f の最良値が改善する率を表します。
2つの小さな例x+y=1 の下で
x2+y2 を最小化します。ラグランジュ条件
2x+λ=0、
2y+λ=0 から
x=y=−λ/2 で、制約から
λ=−1、
x=y=0.5、値は
0.5 です。制約を
x+y=c に緩めると最良値は
c2/2 となり、
c=1 での傾きは
1=−λ です。次に
x≤1 の下で
(x−2)2 を最小化します。制約なしの最小点
x=2 はルール違反なので、制約は
x=1 で活性となり、
2(x−2)+μ=0 から
μ=2>0 です。ルールが
x≤3 なら制約なしの最小点が許され、
μ=0 です。
最小分散ポートフォリオは典型例で、1Tw=1 の下で wTΣw を最小化します。ラグランジュ条件 2Σw+λ1=0 から w∝Σ−11 です。分散が 0.04 と 0.09 の無相関な2資産では、ウェイトは 1/0.04=25 と 1/0.09=11.1 に比例するので、w1=0.692、w2=0.308、ポートフォリオ分散は 1/(25+11.1)=0.0277 です。乗数はこの最小分散の −2 倍に等しくなります。実際のポートフォリオでは、ロングオンリーの規則や回転率の上限にもそれぞれ乗数があり、大きな μ はその規則が大きなコストになっていることを示します。
- 等式制約:∇f+λ∇h=0 と h=0。
- 不等式:μ≥0 かつ μg=0。活性は g=0、不活性は μ=0。
- 価格:乗数は、制約を緩めたときの最良値の感応度です。
実行可能性と符号を確認する解いた後は、答えを4つの条件で確かめます。よくある間違いは、不等式の乗数の符号(制約を g≤0 と書くなら μ≥0 でなければなりません)と、活性なのに不活性と仮定した制約です。符号の規約は教科書やライブラリによって異なるので、使うソルバーがどの形を想定しているかを必ず確認してください。 ラボ:採点される内容
- 乗数10点
- 最適点10点
- 制約を緩める10点
- 2資産の最小分散ウェイト15点
- 最小分散15点
- 4つのKKT条件15点
- 活性制約10点
- 乗数が教えてくれること15点